自治体や学校の取り組み

焼津市立小川中学校

■ゲンジボタルの人工飼育

焼津市立小川中学校では環境教育の一環としてゲンジボタルの人工飼育を行っています。およそ30年前から、焼津市や教育委員会、市民で構成される「焼津ホタル研究会(ホタル総会)」の支援を受け、地域のみなさまの協力を受けながら進めています。
学校の敷地内に「人工河川」とそれに隣接して餌(えさ)となる巻貝の「カワニナ」を育てる「カワニナ池」、ホタル小屋と呼んでいる「飼育施設」を設けその中で科学部の生徒15名ほどを中心として取り組んでいます。


「人工河川」


「カワニナ池」と「ホタル小屋」


飼育施設内

毎年、5月末頃にホタルの成虫が黄色の卵を産み始めます。卵から孵化(ふか)した幼虫に餌(えさ)となる「カワニナ」を与えながら約10か月かけて幼虫を育てます。そして、翌年の3月に大きくなった幼虫を人工河川に放流し、その後さなぎを経て成虫に姿を変えるホタルを見守ります。


卵(白色)


幼虫と「カワニナ」(中央の巻貝)


成虫

河川清掃や草取り、天敵となるクモの駆除などの日々の飼育に加えて以下の取り組みを実施しています。

1. 放流式

例年、3月上旬に幼虫を人工河川に放流する「放流式」を開催しています。科学部の生徒が進行を担当し、1年生を対象に体育館で式典を開催。クイズなどを交えた科学部によるホタル紹介の後、人工河川へホタルを放流します。

2. 観賞会

5月下旬には500人程の観賞者を迎え観賞会を実施しています。PTAのみなさまにも協力いただきながら科学部の生徒も駐車場係や誘導係を担当し、観賞会を運営しています。今までの努力の結晶である「ホタル」が飛ぶ姿はとてもきれいで感動します。

3. 全国ホタル研究大会への参加

例年、成虫が飛ぶ時期(北日本では5~6月)に開催される「全国ホタル研究大会」へ参加しています。ホタルの生態、増殖、生息環境の調査・保全等のテーマでホタルに関する知識を深め、さらにホタル研究者や育成者との情報交換を行っています。
平成22年度には「子どもCOP10(国際子ども環境会議)」に代表生徒と科学部顧問の2名で出席しました。
「子どもCOP10」では、分科会で「生物多様性」を守るために「自分たちがすべきこと・大人たちにお願いしたいこと」について話し合いました。「大人たちにお願いしたいこと」では、川の汚染や森林伐採(ばっさい)、乱獲(らんかく)、ゴミのポイ捨てをしない等の意見が出ました。

飼育を始めた30年前と異なり最近は飼育環境が大変厳しくなっています。この志太地域でもホタルを見ることができる場所が限られてきてしまいました。小川中学校は市街地の中心に位置しております。ホタル小屋の近くには周囲を昼間のような明るさに照らす街灯が設置されましたし、区画整理により以前のようなのどかな自然はありません。また、幼虫の餌(えさ)となるカワニナも少なくなっています。
しかし、生徒がゲンジボタルの飼育を通じて学ぶことは計り知れません。命の大切さや自然と人間との共生を深く考え、自然環境の保護や環境問題の知識を持つことは非常に大切です。
小川中学校では今後もこのような活動を継続して取り組み、地域のみなさまとともに環境について学んでいきたいと思っています。

<取材班からのひとこと>

文中に書かれているように、人工飼育が年々難しくなる環境の中で毎年、産卵・孵化(ふか)・成虫まで育て観賞会まで実施し、これを30年も続けていること自体が貴重であり素晴らしいと思います。このような学校がこの志太地域にあることが誇らしいです。また、「子どもCOP10」に出席し「生物多様性」について話し合っている内容は大人も傾聴に値しますね。

焼津市立小川中学校
静岡県焼津市東小川4-7-1
054-628-3777

詳しくは

焼津市立小川中学校